土建屋さんのお宅訪問

 こんにちは。オレです。

 「家に帰る」と親父が言い出す事が度々あります。特に夜中、せん妄モードに入った時にそう言って家を出ていこうとします。

 ここが家ですよと言っても聞く耳持ちません。今日は遅いので朝になったら帰りましょうと宥めて(なだめて)寝かせるのですが、それが通じない時は、送っていきますよと車に乗せて家を出ます。近所をグルッと一周した頃にはおとなしくなり、家に帰り素直に寝ます。

 このパターンを幾度となく繰り返してきました。

 昨日、「ちょっと出かける」と言う親父に行き先を聞くと、土建屋の大将の家との事。はて?土建屋の大将って誰だろ。

 親父は妄想の中で牛飼いの仕事をしています。最近、家畜市場建設の責任者になったらしく、建設請負の土建屋さんの大将から家に招待されたとの事。

 また近所をグルッと回れば納得して家に戻るだろうと、車に乗せて出かけました。後部座席から道順を指示する親父。

 そこを右に曲がって、まっすぐ行って、左に行って云々。オレが行った事のない住宅地に入っていきます。普段の「家に帰ります妄想」とはちょっと違うぞ・・・。

 「ここで止めろ」と、とあるマンションの前に停車させ「行ってくる」と車を降りた親父。

 ええええっ!?ここ誰の家だよ???慌ててオレも車を降りて追いかけました。

 「こんにちは~~!」 一軒ずつ扉を叩きながら叫ぶ親父。幸いな事に留守らしく誰も出てきませんでした。

 誰もいないので帰りましょうと説得して車に乗せました。帰りの車中でもぶ然とした表情の親父。

 デイサービスからの連絡帳を見ると、仲良くなった利用者さんとよく談笑しているらしいです。マンションはその方の家で、送迎車に乗っている時に場所を覚えたのかもしれません。

 しばらくは土建屋さんの話題には要注意です。パンツを裏表に履く程ボケてても、道順は覚えてるからなぁ(苦笑)

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