人の脳は不思議です

 こんにちは。オレです。

 親父は若い頃の記憶はしっかりと残っています。どんな仕事をしていた、どんな人たちと関わっていた等。これらが過去の事ではなくて現在進行形みたいです。だから今でも「今日は○○に出張に行った」とか「△△の××さんと食事に行く約束をした」等よく口にします。ちなみに△△の××さんは既に故人だったりするのですが・・・。

 彼の中でここ数年の記憶はほとんど残っていないようです。特に認知症を発症してからの1年半。この間に起こった事や知り合った人達は頭に入っていかないようです。

 数ヶ月前、洗面台が水漏れしていたので新しいものに変えました。すると親父は水の出し方が分からなくなりました。何もそんなに難しいものではありません。ただレバーを上下させて操作する超簡単なものです。毎朝、顔を洗おうと洗面台の前に立って悩んでいます。「こうやるんだよ」と何回教えても出来ません。

 彼の家の中での行動、トイレに行く、入浴する、ベッドに入る等は体に身に付いた習慣で本能的に動いているだけのようです。そこで考えながら動くという事はまったく無いのでしょう。だから、身に付いた習慣とは違う新しい洗面台の蛇口を操作できないのだと思います。

 こんな感じなので、デイサービスのスタッフさんの名前も全く覚えていません。1年半、ほどんど毎日接しているのに(笑)

 でも、時々不思議な事があります。一昨日、デイサービスのスタッフさんに「正月は熊本で過ごしたね?」と親父が声をかけたそうです。確かにその方は熊本出身。「お父さんが覚えてくださってました」と連絡帳に書いてありました。

 元日に、親戚の子が年始挨拶に来てくれました。その子は去年の春から宮崎の大学に通っています。すると親父は「宮崎の生活はどうね?」と聞いていました。日頃、その子の話を家でする事はありません。でも親父はちゃんと覚えていたのです。

 年末に行方不明になった時も道に迷わず、ちゃんと家に向かって歩いていました。人の名前や出来事は覚えられなくても、地名や方角に関する事は記憶が生きているのです。不思議なものです。

 親父はサラリーマン時代、出張が多く、それもほとんどが日帰り出来る九州内ばかりでした。自分で運転する車で移動していたのです。そのせいもあってか道に関してはかなり詳しかったです。それらの記憶が、情報としてではなく習慣として頭の中にしっかりと叩き込まれているのかもしれません。

 人の脳って不思議だなと思います。

本日のじい様プレート

(カレイのムニエル、レンコンとジャガイモの煮物、ブロッコリーとキャベツのツナサラダ)

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