薬袋が教えてくれる事

 こんにちは。オレです。

 以前書きましたが、「薬を処方しろ!」とうるさい親父の為、一日分を小分けにして、毎日もらう運びとなりました。

 デイのスタッフさん曰く、他にも同じようにされている利用者さんがいらっしゃいますとの事。でも、ぶっちゃけ大変ですよね。

 毎日、ひと粒の薬の為に薬袋を使うと経費がかかり過ぎるし、地球にも厳しくなります。

 そこで、スタッフさんは使用済みコピー用紙の裏に、日付と朝、昼、晩の服用欄を印刷し、一枚一枚、手作業で作ってくれているのです。

 通常の会社なら非効率的で無駄な作業として、省略すべき事なのですが、相手が認知症患者となると、その常識は通じません。本当に頭が下がります。

 そのスタッフさんの苦労を、オレの親父に対する態度に置き換えて考えてみました。

 親父はヨタヨタしながらも動けるので、自分で出来る事はなるべくやらせるようにしています。

 着替え、布団の上げ下ろし、雨戸の開け閉め、浴槽へのお湯はり等々。でも、なかなかスムーズに出来ないのが現状です。

 こちらから見ると簡単な事なので、正直イライラし、横から手が出て半ば作業を取り上げるようにやってしまいます。その時のオレは「効率的に、迅速に」という意識でついつい動いているのです。

 営利を最優先させる会社員の姿勢が染み付いてしまっているのでしょうね。でも、時間をかければ出来る事を取り上げてしまっては、やらせている意味が無いといつも反省してしまうのです。

 認知症の親父とオレは、流れる時間の速さに違いがあります。無駄と思える事でも無駄ではないと、手作りの薬袋が教えてくれました。

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